萬坊庵・つれづれの記(BLOGと演奏情報)

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2008年 08月 17日

能楽堂deクラシック

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「能楽堂deクラシックvol.6」というコンサートに行ってきた。

なんと、開演時間の1時間半前に自宅でネットで知って、急いで駆けつけたしだい。当日券セーフで、余裕で入れました(喜)。
ここでコンサートを聴くのは多分初めてであるが、ホール仕立ての現代風の能楽堂である。以前、ライブでお邪魔した、住吉神社の能楽堂とは、趣が違う。住吉の方は、地下に音響用の甕が埋めてあったけど、ここはどうなんだろう??

舞台前にセッティングされた、7本の、和紙で作られた蜀台に蝋燭が灯されて、その幽玄な光と共にコンサートが始まる。

能の謡の方が登場して、独吟。
声が浪々と出ているのに、肉体を感じさせない発声。
これが「蜜息」というヤツか、と思いつつ、素晴らしい謡を聴きながら、ジョン・ケージの理想とした「始めも終わりも無い音」というのが、日本には古来から存在していることを痛感する。でも、それを具現化するのは、並大抵でない修行を要するのだと思う。
声ひとつで、時間が心地よく歪むのが凄い。

弦楽四重奏と、箏、そして尺八の合奏。
マイクを使わない生音、その混ざり具合が、とても新鮮である。
音の遠近感、肌触りが感じられる。
PAシステムに慣れすぎた耳には、本当に気分が引き締まる。
尺八は、山崎箜山さん。最近は全国区でご活躍中で、音の渋み・存在感・切れ・・・・堪能させていただいた。音色が、真似の出来ない艶やかな丸みを帯びていて、尺八というのは、やはり、一にも二にも音色なんだなと再認識する。
福岡在住ということで、僕は、その恩恵に預かっているわけである。口幅ったいが、身近にこういう方がいらっしゃるというのが、凄く有難い。

箏の方は、初めて聴かせて頂いたが、「みだれ」の独奏は素晴らしかった。
で、大学の頃、邦楽サークルで、女性の先輩が箏を弾いていて、その優雅な姿に憧れたことを思い起こした。
箏をナマで聴くのも随分、久しぶり・・・・

曲は、古典から現代まで、色んな趣向のがあり、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」や、バルトークの弦楽四重奏が特に嬉しかった。演奏家の方々が楽しんで演奏されているのが伝わってきた。
現代音楽風の即興から始まる「千の風に乗って」のアレンジには、意表を突かれて笑ってしまった。しかも、能楽の謡でその歌詞を歌?われて、全く、別世界の音楽になっていた。が、親しみのある内容で、古典を演奏するというのは、とてもいいアイデアだと思った。お客さんの集中力も、また、違ったものになっていたように思う。

最後は、演奏家が蜀台の光を一人一人消して、コンサート終了。

1時間半はあっという間であった。

終了後、山崎さんに挨拶して、退出。


そのまま、大濠公園を散歩。蝉の声がどこか寂しい。
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by ryosai160 | 2008-08-17 20:43


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