萬坊庵・つれづれの記(BLOGと演奏情報)

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2008年 01月 06日

年始

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弟夫婦と叔父も来て新年を祝う。
とにかく酒。
ビール・ウイスキー・泡盛・トマト焼酎・日本酒を飲んで、気が付いたら寝ていましたww。

こういう、時間が取れるときにすることは、尺八や笛のCDを、日ごろはジックリ聴き込めない感じの、尺八で言えば虚無僧尺八の独奏などを1曲づつ腰をすえて、丁寧に聴いていくことである。今日は特に、酒井松道師とクリストファー遥盟師のソロを聴き込んだ。出来たら本物が良いけど、そうも行かない・・・・しかし、高音質の録音で、尺八のニュアンスは伝わってくる。自分の演奏の雑さなどを反省しながら、出来るだけ浸る。
窓の外にちらつく雪と、尺八の厳しくも包み込むような音色が、インナーマインドの世界を彷徨う手助けをしてくれる。
孤独、と言うことを肯定的に生きよう、とますます思う。

熊本の白土虚皓師と小倉の山崎コウザン師から年賀状。
両師、それぞれに芸風は違うが、僕は、それぞれから深い影響を受けている。
今年も精進しようと思う。


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アジア美術館の韓国映画特集を見に行く。無料。
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「鉄人たち」「みんなで歌おう」の2本。
何れも、いかにも国威高揚、と言う感じであったが、僕が大学生の頃からボチボチ盛んになってきた韓国映画特集の頃(90年代前半)によく見た、今流行の韓流とは違う、凄くアナログ感のある映像が堪らない。ノイズバリバリだし。
ストーリーとかよりも、その、映像の雰囲気を堪能する。
何よりも、名優アン・ソンギの凄く説得力のある演技が見たくて、来たようなものだ。大満足。
こういう企画をするアジ美は素敵。こういう税金の使い方なら、よろしい。
3本見るとキツいので、退出。

下の階のギャラリーにて、ヘリ・ドノという人の、ガムランの楽器(金属製の木琴、みたいなやつ)をバラシて、それぞれの鍵盤をセンサー仕掛けの機械でランダムに叩くようにしたオブジェが展示されてて、丁度、音が鳴っていた。
クセナキスの音楽がノンビリとガムランでやられているような雰囲気。とても面白かった。


1/4
アジ美にて、韓国映画「ピョンテとヨンジャ」を見る。これ、ずっと昔に見た「馬鹿たちの行進」の続編だと途中で気づいた。ハ・キルチョン監督は、凄くいい映像を撮るなぁ。自分もその場面に居たような懐かしくデジャブーな気持ちにさせられる。そして主人公ピョンテのアグレッシヴな行動、まるでフリージャズだ!!wwそりゃあ映画としては荒いけど、「何か確かなものを見た」っていう印象を受ける。本当に、血と汗と涙を感じることが出来る。

腹が減ったので、地下鉄にて六本松に移動、「ニーハオ朋友」(ホークス王監督も贔屓の名店)に行くも明日から営業、アイタタタ。ならばとばかりに、原の「英(はな)」にバスで行く。ここは5年ぶりぐらい。昔はよく行ってたが・・・・前菜ワインパスタ2倍サイズケーキエスプレッソと頼んでみる。2000円。大満足。しかし、こういうところはオッサン独りで来るところでは無いですナ、という感想もww。
その後、行きつけのふくの湯に岩盤浴が出来たのを思い出して、行ってみる。岩盤浴といえば、女性専用が殆どなので、なかなか行くチャンスが無かったが・・・・・いや~~~、タマリマセン。疲れがスッカリ取れて、活気がみなぎってきました。サウナが苦手な僕でも、1時間ぐらい居れました。ここは独りでも大丈夫。


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引き続きアジ美。
「午年生まれの嫁」
ミスター・マンマ
の2本。どっちとも、コメディタッチで面白かった・・・・が、字幕の日本語、滅茶苦茶。
後者は、これまた好きな役者・チェ・ミンス主演。この人も、実に幅広く役柄を演じることが出来る。「白夜」での北朝鮮の工作員役が実にクールだったのを覚えている。

7階のギャラリーの廊下?で、光州事件のドキュメンタリー映像「ドキュメント5・18」を流していたので見る。
この事件は、僕が中学生の頃起こった。通っていた学校がバリバリ日○組で、イデオロギー吹き荒れる職員室・・・・そこに、「光州事件に呼応して日本人民も奮起せよ!」みたいなビラが貼ってあったのを今でもハッキリと覚えている。そういう、「政治の季節」と共に、その頃を思い出さずには居られない・・・・

「ミスター・マンマ」は、90年代初頭の映画。
その頃、僕は、大学のフィールドワークで韓国に行った。
軍事政権が続いたせいか、キムデジュン事件のせいか、大願航空機爆破事件のせいか、「韓国は怖い国」という認識があって、行く前日は眠れなかった。
まだ、ビザが必要で取るのに2週間ぐらい掛かった。
旧朝鮮総督府が国立美術館であった。食堂のテーブルに「日本人は鬼だ」って日本語で彫られていた。
アパートのベランダにはキムチ用の甕が積まれていた。
看板は漢字交じりのハングルなので、意味は何となく分かった。
防空演習のサイレンが鳴って、急いで地下鉄へ避難。
北韓(北朝鮮)の話は禁句。
ガイドの人に、持参した尺八を見せたら、「それは公の場所では出さないように」と釘を刺された。

以上、15年ぐらい前の話。

韓国に対する認識も、ホント変わったな・・・と思う。今更ながら。
「われらが『他者』なる韓国」という、四方田犬彦の本を図書館で借りて読む。学生の頃愛読していた。
実はその頃、韓国の大学への留学話があったんだけど、結局、実現しなかった。僕は後悔というのを殆どしない人間なんだが、行っておけば・・・って思うことが今でもある。
今からでも行きたい位だし・・・・

でも、ここ日本で仕事があるし。
一昨日も小倉で仕事したが、今日は、月末のコンサートに向けて、モロモロの書類提出のために、書類作成(これが無いとコンサートが出来ないのだ)。
尺八を吹くことも、仕事、と言わざるを得ないときがあるし、そういうことが増えてきた。
会社で働くことだけが、仕事ではない。
尺八を吹くことで、社会と向き合っている、それも仕事。
仕事は常に進行しているし、もう、とっくに始まっている。

ちなみに今日は、「ニーハオ朋友」でラーメンを食った。これ、われわれ音楽仲間ウチで密かに話題の一品。甘みとトロミが絶妙。
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博物館にて「木喰展」を見る。木喰上人の彫った仏像などが沢山。
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何時も思うのだが、仏像を見ると、人間よりも余程「生きている」ように感じるのだ。
少なくとも、仏像のほうが僕たちよりも長生きだ。

アジ美で、韓国映画「ヘアードレッサー」を見る。アン・ソンギの演技は、詐欺を働く売れっ子チーフ美容師の光と影をとてもよく表現していた。
観客がほぼ満員。最終日だからだろうか??

by ryosai160 | 2008-01-06 20:35


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