萬坊庵・つれづれの記(BLOGと演奏情報)

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2006年 07月 15日

東京ライブ 15日:「いきと ともに ある ~森と尺八とピアノと~」at 森のテラス


新宿から京王線で20分ぐらいの「仙川」というところにある「森のテラス」は、とても素敵な場所だった。
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落ち着いた賑わいを見せる商店街を通り抜けて、閑静な住宅街の中にある。周りは緑で一杯。正直、東京でこんなに緑に恵まれるとは思わなかった・・・(多分に先入観もあるけれども)。そして、音楽の名門・桐朋学園大学や武者小路実篤記念館があることもあり、街自体に文化的な香りがする。
造園建築家の山田さんが自宅を改造してスペースとして開放されているこの空間は、囲炉裏があったりしてユックリ寛げる雰囲気に満ちている。
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そんな中でライブ、というのは非常に幸せを感じるひと時だった。

ピアニストの重松さんとは、これで共演は3回目となる。
自然をテーマとした演奏活動を年100回以上のペースでされていて、しかもオリジナルと即興のみ、という独自のスタイルを貫いている。非常に気骨があり、かつ、うわべだけではない優しさに満ちた人である。日本全国各地に熱烈なファンが多いのも頷ける。
彼が東京で一番気に入っているというこの場所に僕との共演ライブをセッティングしてくださって、本当に有難い。

山田さん、お手伝いのカオルさん、「森の番人」の方たちのご協力で、涼しげなアイスコーヒーとアイスティーがお客さんに振舞われる。非常に和やかな雰囲気。夏の昼下がり。


今回も、それぞれのソロと共演、という構成であった。

まず重松さんのソロ。ピアノの響きを最大限に生かしながら、美しいハーモニーと力強いパルスの中から木漏れ日のようにフレーズが降り注がれる。トータルな響きで、「ひとつのもの」を表現する。ピアノというよりも、アイヌのトンコリに似た世界を感じる。
天候は、ちょっと雲行きが怪しかったが、彼の演奏中にだんだんと雨脚が強くなってきて、雷まで鳴って来た。
しかし、雨の激しい音と演奏が不思議な調和を見せる。優しく穏やかばかりではない自然。そういうことも十分に表現仕切っていて、「本物」を感じた。
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次に僕のソロ。「博多祝いめでた」から始める。力強い愛する故郷のメロディ。ちょうど、博多祇園山笠のクライマックスの「追いヤマ」の日でもある。
後は、バッハ・オリジナル・ジャズなどを僕自身の解釈で吹く、という何時ものスタイル。もう3年ぐらいこのスタイルで曲も殆ど一緒だけど、飽きることは全く無い。「聴いてもらいたい僕の尺八の音の要素」が全部出揃っていて、不足も感じない。特に、虚鐸は、今回のようなPA無しの完全生音のシチュエイションでこそ持ち味を発揮する。
かけがえの無い場所で、飾りの無い音で演奏し、ダイレクトに聴いてもらう。非常な贅沢。
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共演は、前日のリハで大体構成を決めて、あとは流れに任せて、という感じで。

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虚無僧の吹く尺八の音に、蜩や蝉が鳴く声をピアノの高音で表現。
琉球風の旋律と鈴の音。
僕の新作「イタンキにて」。
ひたすら歌い上げる風と光のように交差して調和するピアノと尺八の音。

演奏が終わった頃には、雨は止んでいた。夕方の陽の光が差し込む。

奇蹟、と言う言葉が浮かぶ。心に何時までも残るライブとなった。


見に来てくださっていた方のブログはこちら。写真も素敵です。
共に、時間を過ごしてくださって有難うございました。


PS 重松さんとは、次回は8・22(火)に、福岡の「カフェ楽屋」というこれまた素晴らしい場所で共演します。今から楽しみです。是非お越しください。

by ryosai160 | 2006-07-15 23:59


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