初めも終わりも無いのに、どこから書き始めればいいのか。
ヒトの間のデキゴトと、その傍らにある、時の間に流れているようで停まっているモノたちの存 在。
作品を超えて、この世界の無常と不可思議な均衡が心に湧き上がり、染み渡ってくる。
『共喰い』は、映画化の話が持ち上がったときから心待ちにしてたから、封切と同時に観に行った。
観て、先ずホッとしたのは、田中慎弥のどこまでもStill lifeを見据える「眼」が充二分に映画化されたということ。
後半のストーリーの「付足し」は、青山真治の何時もの「眼」である。
それが何であるのかは敢えて言うまい。
それは唐突で不器用であるが、青山氏の誠実さと僕は思った。
作品を観て、ディテールの批評をどうこう書く、という気には今でもなれない。
この短文を書くのに2ヶ月余りを要した。
反復と咀嚼と忘却。