萬坊庵・つれづれの記(BLOGと演奏情報)

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2010年 11月 03日

「ロック無韓流」in小倉

先週末、韓国で活躍するギタリスト・長谷川陽平氏のトークイヴェント「ロック無韓流」に行った。
小倉のギャラリーソープという、僕も何度もライブでお世話になったスペースで、韓国ロックの今昔を、長谷川氏セレクトの音源を聴きながら堪能するという、僕にとっては至福の時間になった。
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中でも、我が永遠の師 キム・デファン先生が独自のパーカッションセットでフリーミュージックを始める以前の職業ドラマーであった頃のロックバンド・キムトリオの演奏には感動した。ギンギンにサイケ。ギターはかのチョー・ヨンピル。(彼はキム先生の元で音楽修行したらしく、韓国ではロックスターとのこと)
そして、僕の歌姫 キム・ジョンミの声にはやはり、吸い込まれるものを感じた。名盤"Now"から、「春」を聴く。大きなスピーカーで聴くと、また、格別のものがある。

その他、60年代から90年代、そして現在の韓国ロックの音を色々と聴かせて頂いた。
聴いていて思ったのは、昔のバンドの方が、芯がシッカリしててソリッドであるということ。
録音技術云々ではなくて、表現したいものがビンビンに伝わってくるのが、最近のになると、確かにいろんな面で洗練されててカッコいいけど、ベースラインと音色ひとつにしてもコシが無い気がした。
曖昧、ということか。それは翻って、お前はどうなんだ、ってことなんだけど・・・
長谷川氏は、その辺は、「楽しむ」ことに徹して、今の韓国ロックシーンの真っ只中に生きておられる感じがした。笑顔を絶やさない物腰の柔らかさで、色んなバンドのギタリストとして活躍中・・・ロックの快楽、ということなんだろうか。自分の中の良く分からないコダワリがとても小さなものに思えてきた。

長谷川氏が参加されていたサヌリム(ドラマーが一昨年急逝したので解散状態になっているみたい)は、デヴュー曲の「アニボルソ」しか掛かってなかったので、もうちょっと聴きたかったが・・・電車の時間の関係もあり途中で中座したので、その後に掛かっていたのかも。
氏が、サヌリムのリーダー キム・チャンワンの曲の作り方を、コラージュだと言ってたのには納得するものがある。 何時聴いても、何か、新しいものがあるから。ヘンな「主体」が無いから何時までも古びないのだろう。そして、たとえばソニックユースとかを全然知らずに、おんなじテイストの曲を作る才能について言及していた。
ま、でもそれは、情報が氾濫しすぎてコピーが当たり前の日本の音楽文化からしたら不思議だけど、音楽そのものという観点から見たら当然といえると思う。(キム先生も、あの、唯一無二の打楽器スタイルを独力で完成させたのだから)
殆ど外の情報を知らずに、自己発展していく表現の力を感じ、やはり、そこに魅了されるものがある。軍事政権下で文化統制があり文化としてのパンクロックが全く外から入ってこなかったという韓国で、自発的に「サヌリム」というパンクが生まれて育ったのだ。
天才は何処にいてもどんな状況にあっても必ず花開くものだ、と思う。

「ロック無韓流」in小倉_f0065630_12551850.jpg

ADD4という、キム先生もメンバーの、韓国初のグループサウンズのリマスターCDが物販コーナーにあったのでソク買い。(ギターはシン・ジュンヒョン) これは、10数年前から欲しかったものなので、感無量。

by ryosai160 | 2010-11-03 11:45 | diary


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