萬坊庵・つれづれの記(BLOGと演奏情報)

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2006年 08月 24日

8・22 息をして~ピアノと尺八と~ at カフェ楽屋(福岡市)

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昼。小戸公園。
まだ季節は夏で、博多湾に浮かぶ島々も緑一色、ヨットが波にゆらゆら揺れている。
空は快晴。焼けるような暑さ。蝉が道端で死んでいる。
季節を目一杯に感じながら、「今日は重松さんとの演奏やね」と、先月の東京での共演を思い起こしていた。あのときは夏真っ盛り、だった。
そして今は、秋に向かおうとしているこの空気。胸を、そこはかとない感傷がよぎる。そして、ジワジワと充実感も。

「音もやっぱりこないだとは違うものになるやろな」と思い、このひと夏の様々な体験を音にのせて、やってみようと考えた。
重松さんも、ずっと全国ツアーをしているから、体一杯の音でピアノに向かうわけだ。
想像しただけでイイ感じである。



夜。カフェ楽屋。
ここでのライブは1年半ぶり。
ここは僕にとって特別な場所である。
ここでのライブは正直怖い。「音」が裸になってさらけ出される気がする。
でも、鍛えられる場所。マスター&PAの江島さんとの僕なりの「真剣勝負」の場でもある。
そして、珈琲が格別に美味い。人生の清涼剤。

お客さんもイイ感じに集まってくださって、その中には、2年ぶりぐらいに会う小・中学校時代の親友S君も。彼はハバナトリップというバンドでトロンボーンを吹いている、というのもこのとき知った。こういうことがあるから、ライブについつい、人生を感じてしまうんやね。
でも、全体的にやはり、重松さん目当ての若い女性が多い。それもむべなるかな。

ライブは、先月と同じ形式で構成。
僕は、随所にエフェクターを使ったソロをやった。
「夕陽」「闇を想う」「月光弄笛」(福田蘭童作曲)と、夕暮れから夜に向かう、僕の一番好きな時間「オウマガトキ」を表現。「闇を想う」はウタムラミカさんの写真から想を得た新作。その後、バッハとTAKE5、そしてPAなしで虚鐸。
僕が尺八で考えていること。それは「息」「響き」ということに他ならない。そのままで存在しているものだが、それを、尺八を通じて、様々な曲やバリエイションで逆説的に表現する。
そして、敬愛する孤高のギタリスト、ロレーン・マザケイン・コナーズの面影が自分のソロに宿ることを密かに願った・・・・

重松さんのソロ。
全く、重松さんの一徹さには敬服するよ。
ピアノからシンプルに豊かな響きを引き出す。
適当に耳当たりのいい音を鳴らすんじゃない、確信を持った音が語りかけてくる。

そしてDUO。
最近、呼吸法を変えるトレーニングをしていることもあって、時々、まごついてしまったが、呼吸を変えたことによって、音色の密度の変化が自分でもビックリするほど付けられるようになったのを実感しつつ、重松さんの音に応えて吹いた。
ただただ、何も考えずに。いや、考えているけど、「ここでこうしよう」とか、そういう感じではない、「おおきなもの」を感じたいし、お客さんを始めこの場に居る人みんなと共有したいということかな・・・・今思うと。

重松さんの確信を持った音。
僕はそれに応えればイイ。僕の確信をもって。

30分の共演は、あっという間に終わった。

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ライブの最後のMCで「この共演はまたやりますからよろしくお願いします!」って思わず言ったけど、こんなことを言ったのは初めてだ。
恐らく今年、また機会があるだろう。それまでに僕も少しでも成長せねばならない。

「RYOSAIさんとはインタープレイが出来る」ってことだけど、ありがたい言葉である。僕はそれしか音楽に求めてない。 かつて、感動して自分がこうやって音楽をやり続けている原動力。
自分が感動したことを伝えれば良いんじゃないか。たとえ形はどうであれ。

旅をするピアニストから、勇気を貰った一夜だった。



僕の今年の夏のライブはこれで終わった。
今年も僕はちかっぱやった。後悔は微塵も無い。
大満足だ。

by ryosai160 | 2006-08-24 12:51


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