萬坊庵・つれづれの記(BLOGと演奏情報)

manbowrec.exblog.jp
ブログトップ | ログイン
2015年 07月 26日

11日のライブのこと

FACEBOOKのメッセンジャーを通じて、田中さんよりライブのお誘いがあったのが先月の初めごろ。しばらくライブに出ていなかったので、こういう形で連絡があるのは初めてだった。僕が盛んにライブに出ていたころは、まだFACEBOOKはここまでメジャーではなかった、とおもう。年月が経ったんだな、とおもった。
別にやめたわけでも嫌になったわけでもない。生活に変化があって、優先順位というヤツが多少入れ替わった・・・というのが実情だとおもう。

尺八の音の感覚は忘れてはいない。体の奥に何時もある。そんな簡単に忘れるぐらいのことはしてきたつもりもない。

今回は、今までのソロと、常味祐司さんのウード・田中さんのダルブッカとレクとのトリオによるアラブ音楽を演奏ということで好対照の内容。練習段階からいろいろな空想や幻想がグルグルし、楽しめた。
ソロでは吹きなれた趣向の違う4曲を吹く。ダイレクトな音というのは実に気持ちがよく、歳月の経過を忘れさせてくれるワープ感というかリアリティがある。久々に吹いたソロも、僕の身体から遊離したものではなく、その底からあるいは奥から響くように感じた。尺八本曲は僕にとってまだまだ観念の世界である。僕は僕の納得している曲を吹くことが、僕の一見回り道である一本道である、と確信する。
トリオ演奏はMohamed Abdel Wahabというエジプト音楽界の巨匠という方の曲が中心で、階段を昇ったり降りたりするようなフレーズが、ゆるやかな山道や急峻な谷間を行ったり来たりするような虚無僧尺八とか日本の風土の音の世界とは全然違う発想であるな、と感じたりした。指が慣れるのに少し時間を要したけれど。
微分音を豊富に音楽理論に取り入れているアラブ音楽については、アタマでは理解していたつもりであったが、実際には、E♭がEに近いほど高い微分音を含む曲が1曲あり、常味さんに教えていただくまで分からなかった。懇切丁寧に分かりやすく解説していただき、目から鱗が落ちた思いだった。自分がいかに鍵盤中心の音階に囚われていたか。

f0065630_11425428.jpg


常味さんの印象をコトバにすると、「砂漠から還って来た人」。メカニックなフレーズ(タクシーム)から、オアシスの水のような音の水滴が迸る。喉を潤すような音。そこで生まれる音。キャリアを豊富に積みつつもこういうスタンスをスッと提示できる、その懐の広さをお借りするかたちで音を出せた・・・というのが正直なところ。
田中さんは、自作の陶製ダルブッカを持参されていた。ギリギリになるまで製作されていたとの事だった。陶芸家として、長年「火」と「土」を見つめ続けることで会得されたのだろうか、素材そのものの強靭で深い音が繰り出されていく。感性に溺れることなくさまざまな奏法を熱心に研究されているので単調さはない。と僕が言うのも失礼な感じもする。そのグルーヴに安心感を抱きつつ乗っかり、思いっきり吹かせていただいた。

そして、ダンサーのKukiさん、Malikaさん、Akubiさんお3方のベリーダンスの華やかさで、会場は千夜一夜の雰囲気であった。踊りと音の交歓。

遠方より友来たる、また楽しからずや。大村のはやまん君、ありがとう。

by ryosai160 | 2015-07-26 11:44 | postscript


<< 晩秋(奥州・輪王寺にて)      ある一日 >>