萬坊庵・つれづれの記(BLOGと演奏情報)

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2009年 03月 22日

20日 「春の音づれ」at もも庵

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「旅するピアニスト」重松さんとの充実の共演・・・ということで、いろんな方に見に来ていただきたく、お知らせの連絡はしていたのだが、予想外に断られまくりで予想はしていたけど、お客さんは少なかった。今まではそれなりに集客はあったが、年度末で異動の季節だし、しょうがないか・・・・という気もした。

が、そういう状況の中、このライブをチョイスして折角来て下さった方々へ、余計に感謝の気持ちを込めて演奏。

何時もの通り、それぞれのソロからスタートして、DUOという流れ。

僕のソロは、曲目をかなり入れ替えた。
その面白さが実感できてきつつある虚無僧尺八のレパートリーを増やし、最近特に興味を持っているNEYという中近東の笛のテイストを取り入れた「ムワーシャ」を加える。バッハは相変わらずやっている。汲み尽くせない音の泉を感じるのだ。
日本~中近東~西洋という俯瞰的な曲目にして、その底を流れる「共通した笛の精神」を感じたい・・・という気もあるけど、やっぱり、吹いていて気持ちが良くグッと来るものを選んだというのが正直なところ。
他に、かなり大胆なエフェクト処理を施したオーネット・コールマンの曲とか、尺八ソロの永遠の課題曲「竹籟五章」の1章とか。
こんな多彩というか支離滅裂というか、バラエティーに富んだレパートリーを持っている尺八吹きは世界中に僕だけだろう(笑)。何時も感じている、「尺八らしさ」への反感というのも原因かもしれない。と同時に、ネット上で屁理屈ばっかりカマして何も感じてないし行動してないし根本的に音楽への愛が無い巷の尺八「愛好家」たちへの反感や軽蔑も当然ある。

重松さんのソロは、聴き応えがあって素晴らしかった。
ピアノという楽器の限界を熟知しつつ、その向こうへ行こうとする。
ピアノでは、持続音が出ない。単音楽器だから。
彼は、トレモロを多用することによって、持続音を醸し出す。
多分、東洋の音が持続音を基底にしていることへの、「循環」への思考の故だと思う。
トレモロを持続させ続けることは、かなりシンドイ作業であると思う。
しかし、甘さに流されない頑固さ、これは、美しい響きとともにある彼の音楽の骨格だと感じる。
かなり長時間のソロで、聴きながら、ホントに沢山のことを思った。
彼のエコへの想いも、同じ生活者としての視線から、共感できる。

DUOは今までに無い抽象的な感じとか、まさに生と死の狭間を思わせるようなフリーキーな感じとかが楽しめた。
音選び・エフェクターの設定に迷いがなくなってきてだいぶ純度が高くなってきている気がする。そのときそのときで選んだことに後悔をしない。
尺八とピアノの、よくあるようなありきたりの演奏ではない、全方位的な感覚爆発のライブ、を目指している。
それにしても、重松さんの精進振りには毎回感銘を受けるよ。どんどん音の世界観の芯が強靭に鳴ってきている。 最初のころは遠慮していたことも、どんどん、表現できるようになってきて、静かな可能性を実感する。

終わってから、「花山」。
焼酎ラーメン焼き鳥。
音楽の現状とか、色々はなしこむ。 ライブハウスのノルマ制という変梃りんなシキタリ、プロミュージシャンという甘い罠、等々。

そういえば、「もも庵」の小山田さんのおススメで、箱崎に出来た「パンのナガタ」の2階に、ライブ前に行った。パンを1階で買って、珈琲を頼んで夕食にした。イイお店だった。
NYや韓国に行った時の話をした。
カンディンスキーの全作品展を見に行ったグッゲンハイム美術館の屋上の馬鹿でかいビデオルームで、ニルヴァーナとテレヴィジョンのライブ映像が爆音で流れてて、そこにボーっと2時間ぐらい居たこと、とか。そこにNYを感じたこと、とか。
重松さんがかつて夢中になっていたロックも、NYを土壌にしたものだ。そういうことを思った。
違う時期に、違うライブでNYに行った僕たち。
かつて、福岡に戻ってきて一番最初に住んでいた箱崎の地で、こうして昔からのように出会っているというのも、不思議な巡り会わせだな・・・と思いながら、窓の外の箱崎宮の森の緑を眺める。ちょうど夕陽が沈んでいく時間だった。

by ryosai160 | 2009-03-22 02:01


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